《MUMEI》 ──本当は‥ 塾になんか行かずに 彼女を家まで送りたい所なんだけど‥。 なかなか‥ そうはいかない。 「──んじゃ、またな」 珠季は自分の傘を広げて── 団地の方へと歩いて行く。 彼女の後ろ姿を見つめながら‥ 思う。 この雨が晴れたら── また屋上で空を見ながらメロンパンを食べたいなと。 勿論── 色んな話をしながらね。 話といっても‥ 殆ど喧嘩になってしまう訳だけど── それでも。 楽しいから また話したくなる。 「さて──‥」 急がないとな‥。 塾に遅れてしまう。 ──僕は 少し急ぎ気味に 薄暗い道を歩き出した。 前へ |次へ |
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