《MUMEI》
呼び出し
真司が候補者だったのには驚いたが、それでも俺は


俺も含めた他のメンバーは、選挙には関係無いと思っていた。


しかし


「あの…津田さんいますか?」


(…またか)


候補者が発表された翌日から、休み時間になる度に、志貴は呼び出されていた。


「ちょっと行ってくる」

「俺も行きます」

「今回も必要無い」

「でも…」

「あのね、たとえ告白でも、拓磨の付き添いは必要無いから。
廊下で話すだけだし」


志貴はため息を一つ吐きながら、拓磨を睨み


「行ってくるわね、祐也」


俺に、微笑んだ。


「あ、うん」


拓磨の視線をビシバシ感じながらも、俺は頷いた。


「大変よね、志貴も」


そう言ったのは瀬川だった。


「瀬川だって頼まれたんだろ?」

「私が推薦するのは会計候補だけどね」


(それだってすごいと思うけど)


候補者達は、少しでも他と差をつけようと


より知名度や人気のある推薦者を探していた。


だからこそ、志貴は会長候補者達全員から、推薦者になってほしいと頼まれ


女子バスケ部新部長で、美人の瀬川も知人から頼まれ、推薦者になっていた。

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