《MUMEI》

──蝶は、

戻って来ない。





もう──

どっかに行っちゃったみたい。





ちょっと残念。





──でも、

嬉しい。





だって、

日向に側にいてもらえるから。





だから、

嬉しい。





「──ひなた」

「?」

「手‥握って」

「ぁ、ぁぁ──」





日向が、

あたしの手を握る。





そうっと、

でも‥

しっかりと。





──安心する。





「ほんとに小さいな──那加の手」

「なっ‥何よやっぱりって」

「守ってやらなきゃな、って」

「もう守ってくれてるじゃない。──そうでしょ?」

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