《MUMEI》

珠季が誘ってくれたお陰で──

僕は少し憂鬱が晴れた。

もし──

家に閉じこもっていたなら。

僕は

まだ沈みまくっていただろう。

まさか

雨の日に映画に誘われるなんて思わなかった。

けど──

こういうのもありだなと思う。

──楽しいしね。

隣りにいるのが彼女だからという事もある。

僕が楽しいと思う条件は

只1つ。

彼女が──

珠季が僕の隣りにいる事。

ただ

それだけ。

例え──

どんなに楽しい事でも

君が隣りにいないなら──

それは

何の楽しみにもならない。

大袈裟かも知れないけど‥

君は僕の全てなんだ。

こんな事を言ったら──

珠季は大騒ぎするだろうな。

きっと

顔を真っ赤にして──。

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