《MUMEI》 呼び出しが無い理由「理由、知りたい?」 志貴は、忍のような黒い笑顔のまま、俺を見つめた。 「いや、別に…」 「知りたいです!」 「仕方ないわね」 (そこはスルーしないんだ!?) 拓磨は黒くても、志貴に笑顔を向けられた事に満足していた。 「…で、理由は?」 真司はこの状況に若干引き気味になりながらも、続きを促した。 「あのね。推薦してほしいって事は、その人間を利用するって事でしょ?」 「まぁな」 「そうね」 「わ、私はちゃんと矢上君がふさわしいと思ってるから、協力するんですけど」 即答する真司と瀬川に 渡辺は、少し反論した。 「うん。真理子はそうだけど、祐也は候補者知らないから、近付くのは利用目的しかないわよ」 志貴は、自分より背の低い渡辺の頭を撫でた。 そして 「ね、祐也。祐也を利用したバカな女はどうなったかしら?」 「…!」 その、志貴の笑顔と言葉に 奈都の一件を あの、頼と志貴の共謀を思い出した俺は 俺の周囲が静かな理由を悟った。 それは、勘のいい真司・瀬川・渡辺にもすぐに伝わり 時間差で、守と拓磨にも伝わった。 前へ |次へ |
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