《MUMEI》 『話は最後までお聞き下さい…。』 〆華は憤る兼松に口付けんばかりに顔を近づけ、早口で囁いた。 『あの男たちは、勝負の続行を促す私の進言を飲みました。 ならば、兼松様が勝ったときのお約束に裂く時間も、きっととれる筈です。 そうなれば、私を抱いていると見せかけて、その間に私を縛り上げて、窓からお逃げなさることも叶うでしょう…。』 兼松はハッとなり、命の危機を脱するための芸妓の提案に、固唾を飲んで聞き入った。 『………………。 …して…お前が勝った場合は…?』 助かるには勝つしか道が残されていないと分かっていながら、兼松は馬鹿な問いかけを返した。 前へ |次へ |
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