《MUMEI》
試しにその辺の缶ビールを振って蓋を開ける。
……エクセレント!
次々にヘドロ人間はただの人間へ戻って行く。
みんな気絶してゆくので人の山が生まれた。
鞭をやめて球場のビールの売り子さんのタンクを武器にするべきだ。
「愛子素敵です!」
雁之助の声援に調子こいてついビールを無駄遣いしてしまう。
「………切れた」
手でくまなく探っても
硝子ケースの中は一つも残っていない。
軽やかにかわした幸一(仮)とキョンの二人までは絞れたが、腕力では明らかに向こうが有利。
しかも雁之助を守りながら鞭で戦うなんて………
「ふふふ、形勢逆転キョン
さあ、毒液でドロドロにくたばれキョン!」
「ドロドロはイヤー!」
後ろの硝子ケースの無惨な姿を見る。余計怖い。
「愛子に手出しするな!
くたばるのはそっちです」
雁之助はキョン達に向かっておつまみコーナーのソーセージやらを投げ付けた。
「ギャー、地味に痛いキョン!」
私の為に雁之助……!
また感動。歳をとると涙腺が緩む。
「コイツ、ちょっと表出ろキョン!」
マジになったキョンは幸一(仮)と共に雁之助を拉致して電光石火の早さで裏口へ消えていった。
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