《MUMEI》

ロビーの長椅子に座って

僕は珠季が色々と選んでいるのを眺めていた。

偉く真剣な表情をしている‥。

「───────」

そういえば‥

天気はどうなっただろう‥。

中にいるからよく分からないけど‥

まだ雨は降っているんだろうか‥。

「‥ん‥?」

珠季──

こっちに来るぞ‥?

「なぁ、オマエこーゆーのいるか?」

「ぇ──」

ボールペン‥?

「いらね?」

「ぃゃ、僕は‥」

「いらねーのか?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

いるとしても‥

珠季に買わせる訳にはいかないし‥。

「待ってな」

「ぇ‥、おい‥?」

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