《MUMEI》
ペンダント
「もう、せっかくの手料理が台なしじゃん…」

テーブルに置かれたままにされていた、冷えきった料理を見て呟く。

「こんなに食べれないし…どうしよぉ…」

テーブルを前に立ち尽くしていると、隣の部屋で何やら光っている物が見えた。


…何だろ?


近付いてみると、そこにはネックレスが落ちていた。

「シュウちゃんこんなのしてたっけ?」

所々錆びついたネックレス。
加奈子は全く見覚えがなかった。

「これってロケットなのかな?」

少しアンティーク調の楕円型をしたペンダントトップをそっと開いてみる。


左側に40代位の女性の写真が入っていた。
右側には男性が。歳は女性より少し上に見える。

多分、この持ち主の両親なのだろう。

でも……


「でも、誰の…?」


「俺のだよ。」

いきなり後ろから男の声が聞こえた。

「誰っ!!?」
ビックリして勢いよく振り向くと、突然首がズキズキ痛み出した。

「あ、あなた‥は……」


靄のかかっていた夕べの記憶が蘇ってきた。

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