《MUMEI》

兼松の手札は、ばくばくと波打つ心臓の鼓動が指先まで伝わり、微かに震えていた。



(この巡で……儂の命がどうなるか決まる…)



ハァハァと息を弾ませ、最後に残った1枚の手札を凝視していた。



―――…「菊に盃」



(この巡を何としても取らなければ…もう後が無い…)



カラカラに渇いた口の中で、無い唾を飲む…。



やがて腹を据えたように、札を握った右手を振り上げる。



『えぇい!来い!!!』



――…バシッ…!!



渾身の力を込めて、その札を場に空切った!

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