《MUMEI》

放課後

嫌がる珠季を連れて──

浴衣を買いに行った。

「‥ぜってー着れねーし‥」

「大丈夫だよ、ちゃんと試着出来ていたじゃないか」

「〜〜〜〜〜〜‥」

珠季は

不満げな表情のまま紙袋を覗き込む。

「しかも柄が‥」

「君にピッタリだと思うよ」

「紫陽花のどこがアタシにピッタリなんだよ‥」

「気に入らないのかい?」

「‥‥‥そーゆー訳じゃねーけど‥」

「ならいいじゃないか」

「ぁ"〜‥ッたく話になんねー」

「──楽しみにしているよ、夏祭当日」

「‥へいへい‥そーデスか静瑠サマ‥」

珠季は

大袈裟に溜め息をついて言った。

「んじゃ」

「ぁぁ──気を付けてね」

「家の前で物騒な事って‥そうそう起きねーと思うけど」

「ぃゃ、今の時代何があるか──」

「ご心配どーも。そちらさんも気ぃつけて」

「──了解」

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