《MUMEI》

「ぃゃ、済まない──ついね」

「何かオマエの笑い所ってずれてんだよな‥」

「どうも」

「褒めてねーから」

「今のはわざとだよ」

「なッ‥てンめぇ‥」

「ほら、足元に気を付けないと転ぶよ」

「‥わあってら」

「本当かい?」

「だぁーッ‥しつけーんだよっ」

「──フ‥」

「フ・じゃ・ねーッ」

珠季が

とんでも無く大きな声を出したものだから‥

通り掛かった家の番犬までもが驚いていた。

「はーッ‥」

「どこからあんな声が出るのか気になる所だね」

「ふんっ、うっせーやっ」

素っ気ない態度を取りながら

ちゃっかりと僕の手を握っている。

「ぁ──腹減った‥。着いたら何食うかな──」

「食べ過ぎて腹痛を起こさないようにね」

「ぉ‥起こさねーよ」

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