《MUMEI》

神社の境内に入ると──

珠季は目を輝かせた。

「ぉぉ──‥」

「先ずは何から?」

「そりゃ──‥やっぱイカ焼きだろ」

「‥‥‥意外と渋いな‥」

「な‥何だよっ、オマエなぁ、祭行ったらイカ焼きだろっ?」

「僕はチョコバナナ派だな」

「なッ‥」

「君は嫌いなのかい?」

「ァ‥‥‥アタシは‥」

「じゃあ、僕はチョコバナナを買って先に食べているよ」

「こ‥こらッ、抜け駆けすんなぁっ」

「君も早く自分の分を買って来ればいいじゃないか」

「ゎ‥わあってら」

珠季は

そそくさとイカ焼きの屋台へと向かって行った。

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