《MUMEI》
new episode
午後7時頃、

「ただいま〜…」

武原光哉は力ない足取りで帰宅するとそのまま自分の部屋のベットにへたり込んだ。

友達に誘われて入ったサッカー部の予想外の過酷さに、何事も程々な正確の光哉はノックアウト寸前だ。

「光哉〜もうご飯食べる〜?」

居間から聞こえる母親の声に食べる…と返事を返すとダルい体に鞭打ち着替え、よっこらせと食卓に腰を下ろした。

次々に現れる晩御飯をつつきながら光哉はニュースを見ていた。

『次のニュースです。今日、午後五時半頃、東京上空を謎の赤い発光物が通過するという出来事が起きました。専門家によると未発見の彗星と言うことですが…』

ボーっとニュースを見ている光哉に母親が話しかけてきた。どうやらその彗星を見たらしい。
「どんな感じだったん?」

「ん〜なんかこうシュッと一瞬で行っちゃったからよく分かんなかったわ」

「赤い彗星ね〜、シャアかよ」
と一応のツッコミを入れた後、しばらく食を進めていると母親が奥からなにかデカい荷物を持ち出してきた。
「なんなんそれ?」

「これ?こないだ旅行行ったでしょ。その時にお土産買ってきたから一人暮らしの太一君の所に持って行ってあげようと思ってね」

「へー太一のとこにか」

「コラッ!太一じゃなくて太一君でしょアナタよりお兄さんなんだから!そ〜だアナタがコレ持って行ってあげて」

「は〜!?そんなんやだよ」

「いいから持って行きなさい。つべこべ言ってるとおこずかい削るわよ?」

母親の冗談じゃない言葉に多少自分の中の天秤が揺れたが中学生にとっておこずかいを減らされるのは死活問題だ。
結局母親のお使いを引き受ける事になった光哉。

ピピピ ピピピ ピピピ

3月の寒い夜空に電子音が鳴り響く。
「また飯よメガログラウモン。そんなに喰ったらデブるぞ?」
光哉の手の中、そこには確かに新しいデジヴァイスが握られていた。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫