《MUMEI》

「んで‥‥‥何でオマエイカ焼き持ってたんだ?」

「君をおびき寄せる為に──」

「アタシは犬かよ」

「ぃゃ、そんなつもりは‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「‥済まない‥」

「──済まないじゃ済まねーんデスけど?」

「なッ‥」

またこのパターンか‥。

「珠季」

「ぁ‥?」

「どうだろう──お詫びに何か‥」

「いらねーよ」

「なら──どうすれば君の機嫌は元に戻るんだ?」

「別にアタシ、怒ってねーし」

「ぃゃ、そう言っている時点で既に──」

「うっせー。もーいーだろ、オマエはいちいち気にし過ぎんだよ‥ったく‥」

呟いて

イカ焼きを頬張る珠季。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「本当に好きなんだな、イカ焼き‥」

「‥悪かったな渋い女で」

「ぃゃ──君のそういう所も嫌いじゃないよ」

「‥!!」

「珠季‥?」

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