《MUMEI》
仲間ヲ捜シ
青年貴族倶楽部の会合は普段は午前中に行われる。
今回は何時に無く、主催者の力が篭っているので、降霊会も丑の刻に指定の宿の一室にて収集された。
北王子の家の者に知られないように影近の別荘に招待された等と偽装までして林太郎は骨が折れた。

此れが貴族の道楽だと知られたらと想像を巡らす度に林太郎は具合が悪くなる。

「林太郎君、大丈夫。」

身を按じて呉れる慶一を此のような退廃の巣窟に放っては置けない――――――脅迫にも似た責任感が林太郎を支配して居た。

ビロォドの黒い布で部屋を遮光し、蝋燭は円卓の中心と部屋の隅に点々と配置し其れらしい雰囲気を作り出している。

難しい文字が羅列した紙が蝋燭の周りに貼付けられていた。

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