《MUMEI》 「──‥また破れたし‥」 「僕が掬ってあげようか?」 「ぃ‥いーっつの」 あくまでも 自分で金魚を掬いたい珠季。 「行くぞー‥、てりゃっ」 「そんなに勢い良くやったら逃げてしまうよ‥?」 「うっせーな、これがアタシのやり方なんだよっ」 「──────‥」 掬えない訳だ‥。 「珠季」 「ぁ‥?」 「貸してごらん」 「なッ‥こら返せよっ」 「これじゃあいつまで経っても‥というか小遣いの無駄遣いだ」 「ッ‥」 「──ほら」 「!?」 目を見開く珠季。 「てめッ‥どーやった‥!?」 「それは教える訳にはいかないな──」 「教えろよ」 「そうしたら僕の出る幕がなくなってしまうだろう?」 「そーゆー問題かよ‥」 前へ |次へ |
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