《MUMEI》 「‥‥‥芙‥原‥さん‥?」 桐生が、 ビクつきながらあたしを見る。 「どう‥したの‥?」 「どーしたもこーしたもッ‥お前が言われっ放しだからあたしが代わりに‥」 「ぇ」 「ぁ〜ッたく‥」 あたしは黒板消しを引っ掴むと、 相合傘を消しにかかった。 「誰が描いたか知らねーけどなっ‥そんなに面白ぇかよ。弱いと思って好き放題からかいやがって──」 「芙原さん、もういいから‥」 「良くねーだろっ」 「ぇ‥‥‥」 「全っ然良くねーよっ、お前ムカつかねーのか‥!?」 「ぇ‥、僕は‥‥‥」 「んぁ"ーッしょーがねーヤツっ」 あたしは、 すっかりキレちまってた。 「いーかお前らっ、今度やったら──」 丁度その時‥ 先生が来たもんだから‥ あたしは黙るしかなかった。 何事もなかったみてーに授業が始まって‥ その間中、 あたしはずっとムシャクシャしてた。 前へ |次へ |
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