《MUMEI》

「ぁぁ──分かっているならいいんだけどね」

「分かってるっつの‥」

顔を‥

僕から表情が見えないように反対側に向けたまま──

珠季は呟いた。

そしてそのまま‥

黙り込む。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「首、痛めるよ‥?」

「ォ‥オマエがこんな風にアタシの事抱くからだろ」

意地でも

視線を合わせようとしない珠季。

余程上がっているんだろう──

鼓動が

こっちまで聞こえてくる。

彼女は気付いているのか知らないが‥

かなり火照っているようだ。

にしても‥‥‥

あれだけ食べてよくこんなに軽いままでいられるな‥。

「そういえば珠季──喧嘩をしなくなったようだね」

「前みたく荒れてもないし‥‥‥いざこざなけりゃ、アタシが割って入る必要ねーだろ」

「ぁぁ──。けど‥ストレス発散は何で‥?」

「いっつもしてるじゃんか」

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