《MUMEI》
ドキドキバレンタイン
バレンタイン当日の朝。


俺は


心臓が止まるかもしれないと思う位、驚いた。


「う、ん゛〜!ん゛〜!ん゛ー!」


そんな俺の悲鳴は、忍の手によって押さえられた。


「俺に会えて嬉しいからって騒ぐな、祐也」


(だ、誰が!!)


一人甘い声を出す忍に反論したくても、俺は声にならなかった。


「反論するなら普通の声でだ。できるなら、離してやってもいいぞ?」


(何だその上から目線は!)


そう思いながらも、いい加減に息苦しくなってきた俺は、素直に頷いた。


「よし。ゆっくり、静かに話せよ。朝だからな」

「…普通に来い。心臓に悪い」


俺は忍を睨みながら一番言いたい事を言った。


朝、俺はある明かりで目を覚ました。


それは、朝日ではなく、部屋の冷蔵庫の明かりで


寝ぼけている俺の目にうつったのは


合鍵で侵入し


俺が作ったチョコを黙々と食べている忍だった。


そして俺は一気に覚醒し


悲鳴をあげそうになり


今に至っていた。


「普通じゃつまらないだろ? … 俺が」

「お前がか!…っ…」


叫んだ次の瞬間、俺の唇は忍の唇で塞がっていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫