《MUMEI》 手形バレンタイン翌日。 まだ甘い空気が残る教室に、どよめきが起こった。 「おはよう、祐也」 「お、はよう」 その中心の真司は、いつも通り俺に挨拶してきた。 その表情も態度もいつも通りだが、ただ一つ 真司の頬には、いつもとちがう物 叩かれた跡 赤い手形があった。 「どうしたの?それ」 皆の疑問を口にしたのは志貴だった。 「彼女にやられたんだよな」 答えたのは守だった。 「あの大人しいマネージャーがそんな事するなんて、何したんだ? お前」 拓磨は少し呆れていた。 「別に。それより、祐也。数学の宿題やってきた?」 「あ、あぁ」 「俺今日忘れちゃってさ、見せてくんない?」 (珍しいな) 真司が宿題を忘れる事も 俺に教わる事も滅多に無かった。 「すぐ返すから」 そう言って真司は俺のノートを持って席についた。 「ありがと。はい」 「あ、うん」 (本当に早いな) そんな気持ちで受け取ったノートには 『話があるから、昼休み、サッカー部の部室に来て』 そんなメモがはさんであった。 前へ |次へ |
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