《MUMEI》
本題
「なぁ、祐也。花嫁候補って何?」

「んぐ!?」


真司の言葉に、俺は口に入れたおかずを吐き出しそうになり


何とか、こらえた。


(な、何で?)


胸を叩き、真司からもらったお茶を飲みながら、目で訴えた。


「言われたんだよね。『私は花嫁候補を降りて真司を選んだのに!』って。

『真司はいつもサッカーばっかり』とか、『本当は渡辺先輩が好きなんじゃないの!?』とか言われる理由はわかるけど、それだけわかんなくてさ」


(長谷川、そんな事言ったのか… しかし、真司、冷静だな)


話の内容や叩かれた事から、かなりの修羅場だったろうに、真司は本当に冷静だった。


「…何で俺に訊くんだ?」


心当たりはあったが、一応確認してみた。


「『知りたかったら田中先輩に訊いたら? あの人見極め人だし』って言われた」


(やっぱり言っちゃったのか…)


俺は思わずため息をついた。


それは、かなり前


真司が好きだからと、長谷川が花嫁候補を降りる時


『あんまりしつこかったから、祐也が見極め人って教えちゃった。
ちゃんと口止めはしたけど』


そう、果穂さんから俺に連絡があったのだった。

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