《MUMEI》 「何だ──起きていたんだね」 「今起こされたんだよっ。ッたく‥いい迷惑だっつの‥」 「す‥済まない‥」 流石にやり過ぎたかな‥。 「んで‥何しに来たんだ?」 「家庭教師をやりにね」 「家庭教師‥?」 「ぁぁ。宿題──まだなんだろう?」 「今からかよ!? アタシまだ昼飯も食って‥」 「なら何か作ろうか? ブランチでも」 「──ぇ」 珠季はキョトンとして 僕を見下ろしている。 けれど部屋に引っ込んでしまった。 と‥ 思ったら。 ガチャリと玄関の扉が開いて‥ 「よっ」 ヒョッコリと 珠季が顔を出した。 「入んな、ほら」 「‥ぁぁ‥」 少しどぎまぎしながら‥ 僕は霖堂家に入った。 前へ |次へ |
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