《MUMEI》

美しい芸妓の瞼に、桜色した小町紅が、ほんのりと色づいていた…。



〆華は眼を閉じ……ただ凛として其処に尊居している…。




兼松は、突然訳の解らぬことを言い始めた芸妓の顔を不思議そうに覗き込んでいた。



自らの命が風前の灯火のようにゆらぐ最中、突拍子もない言動に苛立ちすら覚えながら…。




しかし兼松は、〆華の次の行動に、その言葉の意味を理解することになる。





〆華は、ゆっくりと右腕を上げ…





…最後に残った1枚の手札を兼松に見せ付けた。





それは…





―――…「萩のカス」だった……。

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