《MUMEI》

リビングのテーブルを机代わりに、

2人で勉強を始めた。

けど──。

「珠季?」

「‥ぇ」

「どうかしたかい?」

「いんや──別に?」

それだけ言って

彼女はプリントを見つめる。

そのまま──

数分間。

「ぁ"ー‥めんどくせーー‥」

漢字の書き取り。

彼女は

これが一番苦手らしい。

「何だってこんなめんどくせー事‥」

「意外と──やってしまえばすぐだよ」

「オマエはそりゃ‥こーゆーの得意かも知んねーけど‥‥‥アタシ苦手なんだっつの‥」

頬杖を突いて

不満げな顔をしていたけれど──

テーブルから離れようとはしなかった。

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