《MUMEI》
全ての出来事を希望とし
あの後、パトカーのランプ音が外から響いてきたので、取り敢えず全員見つからないように逃げることにした。


別に見られてもいいだろうと季紫は言ったのだが、医十印がそれを咎めた、

「この状況だけ見れば…加害者と被害者は明らかだろう、ここは大人しくこの場から散り散りに消えることを提案する。」


医十印が冷や汗を垂らしながらハッキリと言った。

「そうかぁ?これならいけんじゃね?」

「多分…無理じゃないかな?」

「魔界でもこんな光景見たこと無いよー?」


各々が言いながら見る現場は"異常"という言葉が似合う現場になっていた。

窓ガラスは割れ、壁にすら亀裂が入り、またその所々に血が付いている。
季紫達以外に立っている者がいない状況。
見るものが見ればどこの殺戮現場かと思うだろう。

それほどまでに酷くとも、死者は一人もいない。


季紫達はバラバラに散ることにした。おそらくもう会うことは無いはずだ。

別れの挨拶はない、せいぜい振り返る程度。

そんな形でこの異常で奇妙な出来事は終わりを告げた。




───数日後。

季紫はいつもの学校生活へと戻っていた。
家は補強を無理矢理施し、なんとか暮らせるまでになった。

医十印とは同じ学校というのもあり、何回か会ったりしている。

…その殆どが家の修理に駆り出したり。材料の買い出しに使ったりといった感じだが…


快楽やミスアにはあれを最後に会っていない。
天界や魔界へと帰ったのだろうか?
どちらにしろまたどこかで会いたいと願っている。


たったの1日だが一緒にいて
"楽しい"と感じたのは久しぶりだったからだ。
本当に久しぶりと呼べる感覚に自分が悪くないと感じたことを同時に季紫はもう感じることもないと思っていた。

また、いつも通りの生活が始まる。無言で通し、誰とも関わらないように日を浪費する。
そんな毎日が───

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