《MUMEI》
再会
僕は園長先生の後ろに隠れるみたいに、怖ず怖ずと美奈子先生に歩み寄る。


「いや〜美奈子ちゃん、今日は久しぶりに帰って来た子がいるんだよ!」


園長先生はそう言うと、後ろに隠れている僕を前に出した。


あまりの緊張から、美奈子先生を直視できず、ガチガチに固まってしまう。


「お、久しぶり…です。」

声が今にも裏返りそうだ。

下を向いたままの挨拶は失礼なので、勇気をだして顔を上げた。


その瞬間、美奈子先生と目が合った。


先生は、じっと僕の顔を見つめたかと思うと、急にパァッと明るい表情になった。


「君、順平君ね!?そうでしょ!!?」

「は、はい!」


覚えててくれた!

僕だとわかってくれた!!

その嬉しさと、まだ解けぬ緊張で、息がつまりそうだ。


「ずいぶん大きくなって。私なんか、とっくに追い越されちゃったわね〜。」


美奈子先生は僕を見上げる。

その仕草が、堪らなく可愛い。

想えば想う程、切なくて、胸が苦しくなる。


何だか泣きそうだ。


「お…覚えてて、くれて、とても嬉しい…です…。」

「勿論!
まぁ…最初は雰囲気がもう大人になってて、わかんなかったんだけど…。

でも、目を見てすぐ分かったよ、順平君だって!」


園長先生と同じ事を言った。
驚いて園長先生を見ると、ニッコリ笑って『ほらね』と言われた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫