《MUMEI》 菖蒲の間が、男達の低い声でざわめく…。 『ば…馬鹿な!… …「菊」じゃなかったのか!?』 兼松は血走った眼を見開き唸った。 猪俣は仁王立ちしたまま、〆華がかざした「萩」をじっと見つめている。 藤城も、突拍子もないルール変更に口を挟むことなく、兼松の後ろ姿をじっと睨んでいた。 道風会の男達も、信じられないといった様子で、どよめいていたが… やがて藤城の落ち着き払った様子を受け、勝負を見守ることを暗黙のうちに了承した…。 前へ |次へ |
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