《MUMEI》

今まで

先生になりたいなんて事は少しも思わなかった訳で。

「本気で言っているのか‥?」

「だってそーじゃね‥?」

「僕には分からないけど‥‥‥」

「───────」

「ぃゃ別にっ‥君の意見を否定している訳じゃ‥」

「わあってら。‥っと、水素‥窒素‥」

珠季はしきりに

元素記号の名前を呟く。

けれど何を思ったか──

ふと

顔を上げた。

「昨日疲れたか?」

「ぇ」

「ぃゃ、何か──色々引っ張り回しちまったから」

「引っ張り回したのは僕だよ」

「───────」

「どうしたんだ?」

「いんや、別に」

「‥?」

また‥

何か勘違いをしているみたいだな──。

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