《MUMEI》
真実
通された居間には、ちゃぶ台と座布団、それに小さな仏壇があった。


貴士は促されるまま座布団に座る。


「お前、その火傷はどうした?」


老婆はちゃぶ台を挟んで向かい側に座ると、貴士の首を指差した。

咄嗟にそこを手で隠そうとしたが、老婆にその手を掴まれてしまった。


「その服の下も全部か?」
「…はい。」


「ふむ。…何故そうなった?」


貴士は屋敷の中から吹いてきた、あの熱風の事を話す。


「まさか、夢でこんな…」

老婆の眉間に皺が寄る。


「お前が踏み込んで来るのを拒んでおるな…」


「そんな…っ!だったら男の子を探す処か、中にも入れないじゃないですか!」

「そう焦るな。」


老婆はゆっくり立ち上がると、そばにある仏壇の片扉を開いた。


「それ、旦那さんですか?」


聞いた途端、老婆の手がピタリと止まった。


しまった!と思った。

きっとこれはご法度なんだと…。


「あ…の、差し出がましい事聞いて、すいません。」

「構わんよ。それに、これは旦那のもんじゃない…。」


老婆はそう言うが、その老いた背中が、泣いているかの様に見えるのは気のせいか?


「…お前には話しておこうかの。」




「…何をです?」


何故が身体が硬くなる。





「悪夢の真実の話じゃ。」

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