《MUMEI》

1歩間違えば奈落の底って感じだし‥‥‥。





って‥

落ちてたまるかっ‥。





せっかくここまで何とか‥

崖っぷちに掴まって這い上がりかけてるんだ。





負けるな俺ッ‥。





勝つんだ俺ッ‥。





「──たッ‥大変お待たせ致しましたっっ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「どうぞっ、ミルクティーでございま‥」

「砂糖」

「ぇ」

「砂糖ないんかいな」

「ぁ‥‥‥ありますつ。ぉ、おいくつ‥」

「2つ」

「畏まりましたっ‥」





1つ‥

2つっと‥。





よし、

今度こそっ──。





「どうぞ、お嬢様っ」

「‥‥‥‥‥‥‥」





茨姫が、

ティーカップを持ち上げた。

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