《MUMEI》

──まだお呼び出しはかからない。





お嬢様は、

ず――――――っと独りで黙々とケーキを頬張ってる。





もう俺の出番なし‥?





交流会なのに──‥


俺と茨姫だけ交流出来てねぇ‥。





「──貴女、『桜庭』──でしたわよね?」

「ぇ、ぁ──ハイ‥。えっと‥」

「ぁ‥自己紹介がまだでしたわね──。わたくし、白河閖子と申しますの。さっきもお会いしたかしら?」

「ハイっ‥」





何つーか‥

日本人形‥?





「どうかなさいましたの?」

「いえっ」

「その‥、1つ──宜しくて?」

「な‥何でございますでしょか‥」

「玲奈──あの子の事‥悪く思わないで下さいな」

「──ぇ」

「あの子は確かに『茨姫』ですわ。でも、本当は──」

「あの、その何とか姫って‥」

「マリア学園では、入学の時に学園長から称号を頂きますの。美由は『乙姫』、小夜子は『白雪姫』、わたくしは『かぐや姫』と」

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