《MUMEI》

「‥‥‥‥‥‥‥」

「だから言っただろう? 僕が取るからって──」

「ぅ‥うるせ‥、っていー加減放せよっ」

そう言われて

僕はやっと気が付いた。

彼女を‥

抱き締めたままでいる事に。

「済まない‥そのっ‥‥‥」

「はー‥ったく‥」

珠季は頬を赤らめながら

パスタを袋から出して‥‥‥

「!?」

大量に鍋に投入した。

「入れ過ぎだ幾ら何でもそれはっ‥」

「オマエの分も入れたんだよ」

「だとしても多過ぎだ‥っ」

「手伝ってやってんだから文句言うなよ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

確かにそうだ‥。

文句を言える立場じゃない‥。

けど‥‥‥。

2人分にしては量が‥

多過ぎるんだ‥。

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