《MUMEI》

アラタは不思議と冷静だった。
煉獄は帰ったようだ、シーツに付いた土で昨夜のことを現実と認める。


ずっと、眠りに付くまで傍に居てくれた?



あの幻さえあれば
まだここにいられる。



こんな指は要らない。
気味が悪い、贈られた指をごみ箱へ棄てた。

贈り主はいずれ、探ってやる。



馬鹿にして。
願いごとが

  “生きて”だと?


俺は、ここにいる。
アヅサは、ここにいるだろう。
完璧な筈さ。



全て突き詰めて、
追い詰めて、奪い尽くしてやるよ。俺無しでは生きれないとしらしめてやる。
この世はアヅサの為の楽園だから。

俺はせいぜい可哀相などうぶつ達に理想郷を導いてやろう。

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