《MUMEI》

「こっちへ来て座れ。」


言われるがままに、貴士は老婆の隣に座った。

目の前には小さな仏壇。


老婆は、それをじっと見つめたまま黙り込んでいる。

何かを考えているような、思い出しているような、そんな雰囲気だ。


貴士も黙っていた。


妙な静けさが漂う。



「お前に見せた写真の子じゃがの…」


静寂の中、老婆が静かに語り出した。


「あれは、わしの息子なんじゃ。」


そう言って、目の前の仏壇の扉を開けた。



貴士は仏壇の中に飾られた写真を見て、目を疑った。

そこ写っていたのは、あの少年だったのだ。


「もう、50年も前の話じゃ…。」



悲しい過去を語りはじめた。

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