《MUMEI》

「──っ、オイ放せよこらッ」

「放さないよ、迷子になりたくないだろう?」

「〜〜〜〜〜〜‥。つーかどこ連れてくんだよオマエ‥」

「それは着いてのお楽しみだよ」

「超・怪しいんすけど‥」

「珠季‥、一体君は何を想像しているんだ‥?」

「なッ‥何って‥」

珠季が

真っ赤になる。

「しッ‥知らねーよ、んな事っ」

「大丈夫、君が妄想しているような事にはならないよ」

「アタシは何も妄想なんかしてねーッ」

「フ‥」

「笑うなぁっ」

珠季が

僕を叩く真似をした。

「もォ付き合ってらんねー‥」

「釣れないな──」

「だ‥誰のせいだよっ」

「僕のせいじゃないと思うよ」

「んだとォ‥‥‥」

夕焼けに照らされた珠季の顔は──

一層赤々として見えた。

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