《MUMEI》
判断
(さて、どうするか…)


俺は、俺の言葉を待っている真司を見つめて考えた。


もしも、俺が花嫁候補と厳と頼の見極め人だと当事者又は第三者にバレた場合


『祐也の判断に任せるから』


そう、俺は果穂さんから言われていた。


『もし困ったら、いつでも言ってね。何とかするから』


(それは、避けたい)


後から言われた部分は最終手段にしたかった。


「一つ、約束してくれ」

「別に、言いふらす気は無い。気になっただけだから」

「…守にも黙っててくれるか?」

「あいつが口軽いのは、俺も知ってるよ」


真司は笑顔で頷いた。


そして、俺は正直に話した。


長谷川が、高山家の果穂さんによって厳と頼の花嫁候補に選ばれた事


長谷川は、二人を好きにはならず、真司を好きになり、花嫁候補を降りた事


さすがの真司も、少し驚いた様子で、俺の話を聞いていた。


「… … 俺なんかより、その場の気持ちなんかより、裕福な未来が約束された道を選べは楽だったろうな。

道理で、重いわけだ」


そう言って真司は、罪悪感か、面倒だと思っているかわからないため息をついた。

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