《MUMEI》

河原には

僕らと同じように花火を見ようと集まっている人々が大勢いた。

僕らは

なるべく端の方に腰を下ろした。

もちろん

ビニールシートの上にね。

「──なぁ、祭でもねーのに‥何でこんなにみんな集まってんだ‥?」

「すぐに分かるよ。──後数分もすればね」

「それってすぐにって言わねーんじゃねーの‥?」

「まぁ待っててごらん」

「‥‥‥‥‥‥‥」

珠季は

訳が分からないと

目で訴えてきた。

僕はただ気付かない振りをして

花火が上がるのを待っていた。

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