《MUMEI》
これからの事
「そろそろ戻るか」


真司はいつもと変わらぬ口調で言うと、立ち上がった。


「長谷川との事、どうするんだ?」


真司に続いて立ち上がりながら、質問してみた。


「俺は、どうもしない」

「…どういう意味だ?」

「あっちの気持ち次第って事。別れたいなら別れるし、別れたくないなら、別れない」

「真司はそれでいいのか?」

「俺はさ、祐也」


部室の入口にいた真司は振り返り、後ろにいる俺を見つめた。


「恋愛より、何よりサッカーが大事なんだ。

だから、そんな俺でいいって言うなら、付き合う。

サッカーの邪魔になるような面倒な彼女はいらない」

「…瀬川もそうだったのか?」

「邪魔にはならなかったよ。美咲は普通のデートがしたかったけど、俺はサッカー関連のとこしか連れていかなかった。
普通の恋人同士になれないならつまらないって言われて、フラれたのは俺の方だよ」


(瀬川は言いそうだな)


真司と同じクール系な瀬川なら、ありえると思った。


「真司は、何で長谷川と付き合ったんだ?」


瀬川と長谷川は、タイプが違う。


「今度は、サッカーが好きな女の子が良かったから」


真司の答えはシンプルだった

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