《MUMEI》
待ち伏せ
その日の放課後。


真司はいつものように、守と一緒に拓磨を引きずって部活に行った。


俺も、いつも通り部活に出た。


(寒いと思ったら、雪か…)


俺は冬は雪を警戒して、天気が怪しい時はバスで登校していた。


だから、駐輪場ではなく、バス停を目指した。


バス停には、俺以外にも、数名の生徒が立っていた。


「「あ…」」


その中に、長谷川を見つけてつい、口を開いた俺と


何故か、長谷川の声がハモった。


(あれ? 長谷川ってバスだったっけ?)


果穂さんからの資料を思い出そうとしていると


「…あの。話があるんですけど」


長谷川が、いつの間にか近くに来ていた。


その表情は暗く、寒さの為か、少し震えていた。


長谷川がさしている赤い傘には、白い雪がかなり積もっていた。


(もしかして…)


「いつから、いた?」

「す、すみません。今日は、きっとバスだと思って…放課後から、待たせてもらいました…」

「部活は…」


(行けないか)


真司がいるサッカー部には行けないと思い、それ以上は言わなかった。


「俺、今から家に帰るんだけど…」

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