《MUMEI》

「ぉゎ──でっけー花火──」

目を丸くして

呟く珠季。

「───────」

「なかなか綺麗だろう?」

「いんや」

「ぇ」

「すんげー綺麗」

「──そ‥そうか‥?」

「ぁぁ、すんげー綺麗」

余程彼女には綺麗に見えているんだろう──

まるで

宝石でも見ているかのように

花火に見とれている。

そして僕は

そんな彼女に見とれてしまっている。

──何て綺麗なんだろう。

ぁぁ‥

いっその事抱き寄せて──

‥?

何を考えているんだ僕は‥!?

「‥‥‥‥‥‥‥」

‥おかしい。

ぃゃ‥

有り得ない‥。

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