《MUMEI》

‥早まるな‥。

‥いいか‥?

落ち着くんだ。

落ち着いて‥‥‥

先ずはさり気なく手を‥。

「‥‥‥‥‥‥‥」

驚かれるだろうか‥?

怒らせてしまうだろうか‥?

嫌われ‥

たりはしないよな‥。

彼女から

握ってくれと言ってきた事だってあったんだ。

‥大丈夫‥

あくまでさり気なくだぞ?

さり気なく‥。

「おっ、今度また別なの上がった」

その珠季の声に

思わず手を引っ込めてしまっていた。

少し手を伸ばせば‥

触れられるんだけど‥。

‥それにだ。

何故‥

僕はこんなにもためらっているんだ‥?

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