《MUMEI》

それよりも今は──

何とかして彼女の手を‥。

握‥

れ‥

ないだろうか‥。

何とか‥。

「──シズル‥?」

「!!」

「‥?」

「ななな何でも無いと言っただろう‥!?」

「そう言ってる時点で明らかに何でもなくねーだろ‥?」

「本当に何でも無いんだっ、だから君は何も気にせずに花火を見ていてくれ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

余程僕が挙動不審に見えたんだろう──

珠季は思いっ切りそれを表情で示してきた。

僕はもう気まずくて気まずくて‥‥‥

彼女から必死に目を逸らしていた。

早く彼女が

視線を逸らしてくれる事を願いながら‥。

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