《MUMEI》

〆華は、ゆっくりと眼を開く…。



これから〆華は、手札の「萩のカス」を、裏返された2枚の札のどちらか一方に張る。



その札に「猪」が居れば、〆華の勝ちが決まる。



兼松は固唾を飲んでその時を待った。



〆華は右手に持った札を、ゆっくりと頭上まで持ち上げる…。



そして、それまで伏し目がちだった視線を真っ直ぐに兼松に投げ返した。



『行きます…。』



〆華は腕を振り降ろすようにして、最後の札を座布団の上に叩きつけた!



―――…パツッ…!!



一人の男の命を左右するには、あまりにも軽い音をたてて札は張られた。

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