《MUMEI》

‥走る。





‥床を蹴る。





‥飛び上がる。





──入れろッ‥。





「──っ‥」





叩き付けるみたいにして、

ボールをゴールにぶち込んだ。






──どよめきが起こった。





「──やった!!」

「───────」

「緋色っ、決まったじゃん!」

「ぇ、ぁぁ‥‥‥」





あたしは、

ポカンとしちまった。





あたし‥

入れたんだよな‥?





──入れたんだ。





「──ぁ」





後ろを振り向いたら、

先輩が笑ってた。





──高々と、

拳を掲げて。

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