《MUMEI》 また 花火が上がった。 咲いて 散って。 また上がる。 「ん‥‥‥」 珠季の瞼が 僅かに動いた。 けれど 目は開かない。 一瞬起き掛かって‥ また寝たみたいだ。 まだ もう暫くは起きないと思う。 最後の1発が上がる頃には 目を覚ますだろうか。 本当によく寝ているな‥ しかし‥。 そんな事を思っている内に 僕はある事を思い付いてしまった。 ポケットから取り出したのは‥ 携帯電話。 カメラ機能を起動させ‥ ナイトモードにして ピントを合わせる。 「───────」 花火の音のお陰で 珠季にも周りにも気付かれずに済んだ。 前へ |次へ |
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