《MUMEI》
決着&おまけ
ワンド内に封入されているマジックシールドを全て展開、さらに詠唱破棄で、水系第3位ウォーターシールドを2枚展開し終わった所でライトニングスプレッドが直撃、展開したマジックシールド25枚のうち22枚が弾け飛ぶ。
「く・・・」
思わず漏れる声。
バニシングブロウが残ったマジックシールドを貫通ウォーターシールドさえも弾き飛ばすが・・
間一髪で右へと倒れこみ避ける。右肩が掠り、血が歪みの中心へと吸い込まれていく。そこに全方位からのツララの一斉刺突。
「痛ッ・・くっそ!!切り刻む防壁を!吹き荒れろウィンドソルフ!!」
詠唱し、ワンド内に封入しておいた最後の術を発動、風系第5位の精霊術、自分の周囲に暴風と真空波を発生させ相手を吹き飛ばし切り刻む。発生した暴風によりツララが吹き飛ばされ軌道が逸れる。
(直撃が4本、掠り傷が・・沢山!でもまだ戦えるもんね!!一撃くらい返してやる)
暴風の合間を駆け抜けながら詠唱を開始、さらに詠唱破棄により4発のマジックショットを発動、直前までハンディングが居た場所へと放つ。
と・・暴風を抜けた直後、視界が漆黒に包まれる。
「前に出るか。よい判断だが・・遅すぎる、さらに正直すぎるな。」
前へと疾走していた想花の顔を軽く掴み後ろへと押し、足を払う。
(え・・・)
受身も取れず地面に叩き付けられた想花。
「ふむ・・ココならばすぐに治る傷しか無い故、眼を覚ますまで放っておくとするか。」
呟き、適当な岩の上に座ろうと歩き出すハンディング。
「これでも・・喰らえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
倒れたままの想花がマジックショットを発動させ1発の光弾がハンディングへと飛ぶ。
声に反射的に振り返る。
戦闘態勢を解いていたため防御結界は纏っていない。
瞬時に首を傾け回避する。
想花の放ったマジックショットはハンディングの左頬を掠め、フードを破りながら後方へ。
「ほぅ・・まだ意識があったとは・・少し甘く見すぎたようだな。くっくっく・・良い退屈しのぎになりそうだ。」
嬉しげに笑うハンディングの声を聞きながら想花は意識が薄れていった。
「いきなり派手に吹き飛ばさなくても・・・」
ぶつぶつ文句を言いながら戻って来たボンカー。
ハンディングの姿を見てしばらく硬直。
(ふむ・・そういえばフードが千切れて飛んで行ってしまっていたな。)
ボンカーに背を向けると今度こそ岩に腰を下ろす。
「お美しい魔法使い様〜貴女の教えを請うことが出来・・うぎゃ!」
振り向きもせず、無系第3位グラビティプレスを発動、地面へと押し付ける。
「・・・・・」
(我の顔を見て、怯えもせずに・・世も末かもしれぬ・・)
やれやれと首を振ると手元の書物へと目を落とす。

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