《MUMEI》 …"猪"は…………………………… ………………居なかった。 殺風景な「萩」のカスが2枚だけ… えんじ色の座布団の上に、虚しく暴かれていた…。 兼松は、呼吸をするのを忘れていた。 『ぶはぁ!』…と大きく息を吐き、涙目で拳を握る…。 『…助かったぁ…… ……助かった!…』 〆華だけに聞こえるような、小さくかすれた声が、歓喜に震えていた。 〆華は表情を崩さず、黙ったまま2枚のカスを見つめていた…。 前へ |次へ |
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