《MUMEI》

一際大きな、

花が咲いた。

「───────」

──綺麗だ。

「ぅお──でっけー♪」

珠季が興奮して

歓声を上げた。

「なぁっ、すんげーよあれっ」

「──ぁぁ」

楽しそうだな

珠季──。

僕は

彼女みたいに燥いだりはあまりしないけど──

でも

彼女といると

不思議と気分が高ぶってくる。

──楽しいんだ。

本当に。

「‥?」

「───────」

「珠季?」

「っし──帰っか」

珠季は立ち上がると

まだ座ったままの僕を引っ張った。

「ほら、来いよ」

「なッ‥こらそんなに引っ張るなっ」

「オマエがノロノロしてっから」

「‥‥‥‥‥‥‥」

反論したい所だったけど──

敢えてそれはしなかった。

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