《MUMEI》

嫌がっているようでは無いようだし‥

むしろ

嬉しいんだ。

「今のっ、にッ‥2度と言うんじゃねーぞっ、分かったかよ!?」

「そんなにムキにならなくても──」

「うっせーッ」

必死だ。

珠季は必死になっている。

「おい聞いてんのかよ!?」

「ぁぁ、勿論」

本当に可愛いな──

珠季は──。

‥?

「嬉しくなんかねーかんな‥」

「──分かってるさ」

でも

本当は嬉しいんだろう?

ほら──

笑っているじゃないか。

「‥ん」

珠季が

いつの間にか──

僕の腕に抱き付くような感じになっていた。

そのまま

何も言わずに歩き続ける。

僕は歩調を合わせながら

今度は何処へ彼女を連れて行こうかと考えていた。

──いつもより少しだけ

静かなデート。

たまには

いいものだな──

そう思った。

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